白と黒のとびら 第9章 不毛な論争 その1

魔術師とその弟子ガレットはファカタの学院に向かいます。師匠は古代クフ語の「装置派」と「規則派」の論争を止めるためにガレットに自分の論証を語らせようとします。

  • 装置派
    • 古代クフ語を表現する遺跡の装置(白と黒の石やダイヤ、引換券、引換券を交換する小人、白黒の扉とその前の小人など)
    • 装置派はこの装置が古代クフ語の本質とする
  • 規則派
    • 古代クフ語は引換券や石の変換規則だけで表現できる(S -> 〇●, S -> 〇S● など)
    • 規則派はこの変換規則こそが古代クフ語の本質とする
    • その証明のために規則をもとに表現でき、装置では表現できない古代クフ語の表現を考えようとしている

師匠は「規則に表現できて装置に表現できないものはない」と言いますが……。今日はここまで。

白と黒のとびら 第8章 対決

第7章で登場したラミルがガレットを監禁します。ガレットは習ったばかりの古代クフ語を応用した魔法がつかえるかどうか……

  • 第一古代クフ語は「〇を好きな回数繰り返し、その後●を同じ回数繰り返した文字列を文とする」言語
    • 〇〇〇●●● のなかで連続した任意の部分を繰り返すことはできないが、「1つの点を同時に」省いたり延ばしたりすることはできる(ex. 1 と 6、2 と 5)
    • しかし 3 と 4 は省けない。なぜか
    • 第一古代クフ後はイオ島の試しの部屋に対応している。そこでは引換券 S は 〇●、〇S● のいずれかと交換できた
    • 第一古代クフ語の文の中央の 〇● は、S -> 〇● の交換に対応していて、ここを省くと(文の形としては他の箇所を省いたのと同じだけど)操作としては別のものになってしまうため

白と黒のとびら 第7章 呪文 その2

ガレットは第八古代ルル語をベースにした魔法の訓練をはじめます

  • 第八古代ルル語は偶数個の〇と偶数個の●を含む文字列を文とする
  • 〇〇●●●〇●〇 のうち、省いても何回くりかえしても文字列全体が第八古代ルル語の文であり続けるような部分はどこか
    • 1文字だけ省くのはだめなので2文字以上の部分文字列を同時に操作しないといけない
    • [1, 2], [3, 4], [4, 5], [1, 2, 3, 4], [5, 6, 7, 8], [2, 3, 4, 5, 6, 7], [3, 4, 5, 6, 7, 8], [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8] が操作可能(1 オリジン)
  • 第2章で出てきた夜長村の神殿は第八古代ルル語に対応している
  • 操作可能な部分文字列は神殿の経路で元いた場所に戻る経路に対応している

白と黒のとびら 第7章 呪文 その1

師匠の以前の弟子であったラミルという少年が登場し、ガレットに魔法の使いかたを教えてそそのかします

  • △□□□△□□△ という並びの飛び石の6番目の石(□)が消える
  • 第四十七古代ルル語の〇●の並びにみたてることでなんでも操作できる
    • 第四十七古代ルル語は「〇●」で終わる文字列を文とする言語
  • ラミルが教えた 2つの呪文
    • 「第四十七古代ルル語において、この列の6を省け」
    • 「第四十七古代ルル語において、この列の8を省け」
  • 2つ目の呪文は誤りである、なぜか
    • その石を省いた結果が第四十七古代ルル語の文に対応するような場所しか省けない
  • 延ばす呪文もある
    • 実は他にも条件があり、その位置を省いても、何度繰り返しても結果が第四十七古代ルル語の文のままになるような位置しか、省いたり増やしたりできない
      • 従って ●〇〇〇●〇● の6番目は省くことも(省くと第四十七古代ルル語にならなくなる)、また延ばすこともできない(延ばした結果は第四十七古代ルル語だけど、省くことができないところは延ばすこともできない

どうやらこの世界での魔法というのは、古代ルル語や古代クフ語の並びを操作する規則を元にしているようですね。

白と黒のとびら 第6章 祝祭 その3

ガレットは「妹の祠」の設計は解きあかしましたが「姉の祠」の設計はかなり違うようです

  • 筒の中は空で、引き換えの小人も居ない
  • 子供たちが小人になにか言うことで白、黒の扉を通ってしまい、筒には白い石と黒い石がつまった
    • 従って、入口から到達した部屋では小人に「石を頂戴」と言うたびに筒に石が詰まって同じ色の扉を通り元の部屋にまた移動(?)する
    • 逆に石を渡す(ただし筒の入口側からしか石は取れない)と同じ色の扉を通ってもう一方の部屋に移動する
    • もう一方の部屋では石を渡すことしかできなくて、石を渡すたびにその色の扉を通る
    • 筒が空になると出口へ

という設計の祠のようです。これでも同様に文字数が偶数の回文になるようにできています。筒と石という記憶装置と、扉の通った先が一定でないことでこの文を表現できるんですね。

その後ガレットは子供たちを返すまいとするレレルと悶着したりしますがそこは割愛。

白と黒のとびら 第6章 祝祭 その2

ガレットは「妹の祠」のほうに入りますが、そちらには子供達はいませんでした。
そのかわり小人の「試しの部屋」に似た白黒の扉とその前の小人の像、引換券を交換してくれる小人の像が

  • 入口からこの部屋に移動した時に引換券は筒に1つ入ってる
  • 引換券 S は以下のいずれかのルールで交換可能。〇●はそれぞれ白い石と黒い石
    • S -> 〇S〇
    • S -> ●S●
    • S -> 〇〇
    • S -> ●●
  • 〇や●を扉の前の小人に渡すと扉を通ることができる。ただし通った先は同じ部屋
  • 筒が空になると外に出られる

というわけで「〇や●を任意の回数任意の順序で繰り返した後それをひっくりかえしたものを繋げたもの」を文とする言語を表現しているようです。ガレットは回文と表現していましたが「●」「〇」だけや「〇●〇」も回文だけどこの祠には対応しないので「偶数の文字からなる回文」というのが正確でした。

しかし「姉の祠」には2つ部屋があり、そこには引き換え用の小人の像はないとのこと。

白と黒のとびら 第6章 祝祭 その1

第6章では第5章の小人の遺跡の構造としくみについての復習のあと、近所の子供を近くの村のお祭りに連れていくのですが、そこで子供達が神殿にレレルの祠という小人の遺跡に閉じ込められてしまって……というストーリー

  • レレルの祠は姉の祠と妹の祠で2つあり、子供達はどちらかの入口から自動的に移動した部屋にいる
  • 子供達のいる部屋には白の扉と黒の扉、その前に小人の像があり、筒が持たされているが、引換券も引き換えしてくれる小人の像もない
  • 祠の見取り図は存在する
    • 妹の祠は入口と出口の他に部屋A があるだけ
    • 姉の祠は入口と出口の他に部屋 B、C がある
  • 2つの祠は同じ目的で作られた、ということなので同じ「古代クフ語」を表現していると考えられる

ガレットは妹の祠のほうに入って調査しようとしますが……どうやら子供達がいたのは姉の祠のほうだったようです。
というあたりで続きは明日。