2014-01-01から1年間の記事一覧

Rubyのしくみ -Ruby Under a Microscope- 序文、はじめに

お久しぶりです。 次は「型システム入門」を読む、と言いつつ半年近く間があいてしまいました。生活リズムの変化により朝の読書というのが難しくなったので、朝にこだわらずに読むようにして復活させようと思います。 さて、このたびオーム社様のご厚意によ…

白と黒のとびら 解説

有限オートマトン プッシュダウンオートマトン 有限オートマトンにスタックを追加 線形拘束オートマトン 有限オートマトンに有限の長さのテープを追加 チューリングマシン テープの長さを無限に これがそれぞれ以下の形式言語のクラス/文法に対応する 有限オ…

白と黒のとびら 第16章 返答

ガレット君はついに塔の問いかけに答えます 「〇と●からなる全ての文字列を含む集合から、『塔の動作を記述した文字列のうち、それ自体が、自身が表す動作によって表現される言語の"文"であるような文字列』を取り除いた文字列」 塔の動作を表す文字列ではな…

白と黒のとびら 第15章 詩集

クージュとレザンの兄弟が作った「万能機械」でも決っして表現できない〇と●からなる言語の特徴を述べよ、という問いかけに答えないといけなくなったガレットは苦労しながらも、答をみつけるようです 「〇と●からなる言語」とは「〇と●の文字列の集合」であ…

白と黒のとびら 第14章 問いかけ

14章は、ひとつの装置で全ての古代ルル語、古代クフ語を表現できる「万能機械」についての話と、師匠の師匠のところに赴くストーリ上の展開で終わりました。 万能機械 全ての古代ルル語、古代クフ語を表現できるただ一つの装置 ヴェインさんは第一古代セティ…

白と黒のとびら 第13章 塔 その2

ガレットが実際に塔に入り「〇〇●●〇〇」を入力してみます 塔の部屋は詩に書かれているとおりに扉の色を変化させて上下する 「1月」とか「2月」は部屋の位置ではなくて、部屋の「状態」を表している 塔の扉はその階に部屋があるときだけ詩に記述されていると…

白と黒のとびら 第13章 塔 その1

ガレットとユフィンが向かった先には「塔」を守る巨人の子孫とヴィエンが。巨人の言語を表す「塔」の遺跡についての説明がメインの章です。この遺跡はこれまでに出てきたものとはずいぶん様子が違うようです。 塔の部屋は昇降機のようになっていて、部屋のボ…

白と黒のとびら 第12章 解読 その2

解析の途中にユフィンが教えてくれた、古代クフ語の規則の条件から外れた規則の言語について 以下の規則を持つ S -> 〇●〇 S -> 〇 BT 〇 T -> ABT 〇 T -> AB 〇 BA -> AB 〇 A -> 〇〇 B 〇 -> ●〇 B ● -> ●● 規則の左辺に〇●が含まれていますねという脱線…

白と黒のとびら 第12章 解読 その1

GW もあって間があいてしまいました。師匠が残した偽クフ語の詩を解読するため、ガレットはファカタで知りあったユフィンの力を借ります。 解読の鉄則 短い文から手をつけよ ほんの一部でも正しい訳を見つけよ 一部でも解読できれば、残りは手元に飛び込んで…

白と黒のとびら 第11章 決断

11章は偽クフ語という古代クフ語を参考にして人工的に作られた言語の話題が上がりますが、一転ストーリーが動きはじめるのであまり書くことがないです。 偽クフ語も〇と●からなる文 〇と●の並びの「単語」とその意味はわかっている しかし文を単語に切りわけ…

白と黒のとびら 第10章 小さな変化 その3

今日は「装置」から同等の「規則」を作ることができる証明についてです。 「装置」つまり遺跡において「文」は「入口から出口に至るまでの経路で開いた白い扉と黒い扉の順序」 「装置」を入口から出口に至るまでの経路を以下のように分類してステップに分解…

白と黒のとびら 第10章 小さな変化 その2

今日は古代クフ語を表現する「規則」から同等の「装置」(つまり遺跡)を作ることができる証明についてです 3つの部屋 A、B、C があるものとする A は入口の部屋で、筒が空のとき自動的に B に移動し、引換券に筒が入る C は出口で、B で筒が空になった時に自…

白と黒のとびら 第10章 小さな変化 その1

第10章は「装置派」と「規則派」の対立が激しい学術院で装置と規則の表現力が同じであることを証明しようとするガレットの奮闘です。長いので何回かに分けることになります。今日はまず、前提の確認のところまで 「クフ語の装置」とは以下のようなものである…

白と黒のとびら 第9章 不毛な論争 その2

古代クフ語の研究の「装置派」と「規則派」の論争を終わらせるため「規則で表わせるが装置では表わせないような古代クフ語の文が存在しない」「装置で表わせるが規則では表せないような古代クフ語の文が存在しない」ことを論証することになったガレット。さ…

白と黒のとびら 第9章 不毛な論争 その1

魔術師とその弟子ガレットはファカタの学院に向かいます。師匠は古代クフ語の「装置派」と「規則派」の論争を止めるためにガレットに自分の論証を語らせようとします。 装置派 古代クフ語を表現する遺跡の装置(白と黒の石やダイヤ、引換券、引換券を交換する…

白と黒のとびら 第8章 対決

第7章で登場したラミルがガレットを監禁します。ガレットは習ったばかりの古代クフ語を応用した魔法がつかえるかどうか…… 第一古代クフ語は「〇を好きな回数繰り返し、その後●を同じ回数繰り返した文字列を文とする」言語 〇〇〇●●● のなかで連続した任意の…

白と黒のとびら 第7章 呪文 その2

ガレットは第八古代ルル語をベースにした魔法の訓練をはじめます 第八古代ルル語は偶数個の〇と偶数個の●を含む文字列を文とする 〇〇●●●〇●〇 のうち、省いても何回くりかえしても文字列全体が第八古代ルル語の文であり続けるような部分はどこか 1文字だけ…

白と黒のとびら 第7章 呪文 その1

師匠の以前の弟子であったラミルという少年が登場し、ガレットに魔法の使いかたを教えてそそのかします △□□□△□□△ という並びの飛び石の6番目の石(□)が消える 第四十七古代ルル語の〇●の並びにみたてることでなんでも操作できる 第四十七古代ルル語は「〇●」…

白と黒のとびら 第6章 祝祭 その3

ガレットは「妹の祠」の設計は解きあかしましたが「姉の祠」の設計はかなり違うようです 筒の中は空で、引き換えの小人も居ない 子供たちが小人になにか言うことで白、黒の扉を通ってしまい、筒には白い石と黒い石がつまった 従って、入口から到達した部屋で…

白と黒のとびら 第6章 祝祭 その2

ガレットは「妹の祠」のほうに入りますが、そちらには子供達はいませんでした。 そのかわり小人の「試しの部屋」に似た白黒の扉とその前の小人の像、引換券を交換してくれる小人の像が 入口からこの部屋に移動した時に引換券は筒に1つ入ってる 引換券 S は以…

白と黒のとびら 第6章 祝祭 その1

第6章では第5章の小人の遺跡の構造としくみについての復習のあと、近所の子供を近くの村のお祭りに連れていくのですが、そこで子供達が神殿にレレルの祠という小人の遺跡に閉じ込められてしまって……というストーリー レレルの祠は姉の祠と妹の祠で2つあり、…

白と黒のとびら 第5章 坑道の奥で

第5章は Alloy による解析なしです。師匠にある島につれていかれた弟子は修行を続けるかどうかの判定のための遺跡に入りますが…… 白をN回の後、黒が同じ数(N回)続くイオ島の小人の言語「古代クフ語」 これまでの遺跡の制約ではこの言語は表現できない イオ島…

白と黒のとびら 第4章 金と銀と銅 その2

解けた! 部屋の数がこれまでに比べて多めなので解析にも時間がかかります。 module white_black/gold_silber_copper abstract sig 場所 { 値段: Int } { 値段 >= 0 } sig 部屋 extends 場所{ 金: one 場所, 銀: one 場所, 銅: one 場所 } one sig 入口 exten…

白と黒のとびら 第4章 金と銀と銅 その1

聖ラウの水というのを買いにおつかいに出た弟子ですが、道をまちがえてしまい、聖ラウの水を売ってくれるという奇妙な家に足を踏み入れます... 家には金色、銀色、銅の色の扉がある 家のなかの各部屋にも3色の扉があるらしい 「聖ラウの水は120トラヌ。おつ…

白と黒のとびら 第3章 復元 その4

金曜日も読んでたのですがメモする時間がありませんでした。第3章の残りでは弟子が遺跡の復元をして、一度間違えかけるのですが、この時の設計図には扉が足りてないのでまあそもそもおかしいですね。またこの遺跡には以下のような正規表現に対応する設計があ…

白と黒のとびら 第3章 復元 その3

ハマンの遺跡は第四十七古代ルル語に対応する遺跡だそうで 最後が〇●で終わる文字列をすべて文とみなす言語に対応 部屋は3部屋 入口と出口は別の部屋 そして遺跡の年代から 同じ部屋にある白と黒の扉の行き先が同じであることはない 同じ扉の行き先は一定 と…

白と黒のとびら 第3章 復元 その2

裏山の遺跡はただの導入でその先にストーリーが続いてました。 なお裏山の遺跡の構造に対応する文は「●〇で始まるすべての文字列のみを文として含む言語」で、第三古代ルル語だそうです。 ハマンの町で遺跡をこわしてしまったために領主の長男、次男が病に伏…

白と黒のとびら 第3章 復元 その1

第3章は魔術師の師匠の家の裏山の遺跡について。 この遺跡は構造については簡単で実際に特定可能でした。 第1章、第2章の遺跡よりも年代が新しくて、制約が緩い 全ての部屋に白と黒の扉がある 全ての扉の行き先は固定で時間や状態によって変化しない ある部…

白と黒のとびら 第2章 帰郷 その2

というわけでガレットの故郷の神殿の構造について Alloy で検証してみます。利用したコードはこちら。 module white_black/home_temple sig 部屋 { 白: one 部屋, 黒: one 部屋 } { 白 != 黒 } one sig 入口 extends 部屋 {} one sig 竜の部屋 extends 部屋 …

白と黒のとびら 第2章 帰郷 その1

主人公のガレットは故郷に帰省しますが、そこにも白と黒の扉の神殿が。 第1章の遺跡と同じ年代の遺跡なので同じ制約がある 各部屋には白と黒の扉があり、それぞれ別の部屋に繋がっている 各扉の行き先は常に同じで状況や時間で変化しない さらに証言などから…