白と黒のとびら 第12章 解読 その2
解析の途中にユフィンが教えてくれた、古代クフ語の規則の条件から外れた規則の言語について
- 以下の規則を持つ
- S -> 〇●〇
- S -> 〇 BT 〇
- T -> ABT 〇
- T -> AB 〇
- BA -> AB
- 〇 A -> 〇〇
- B 〇 -> ●〇
- B ● -> ●●
規則の左辺に〇●が含まれていますね
という脱線も挟みつつ、偽クフ語の詩の解読は進みます。短い 1文の意味ですら1つに絞れないのですが、これが詩であることから、似たような文は同じ文法構造だろうという前提で解釈してみて1つの候補に絞ります。古代の言語の解析もこんな感じなんですかね。
と1文を解析したところで、ヴェインからの手紙で同じ内容の詩がみつかったことを知ってガレットとユフィンはヴェインの元に向かうのでした。 第12章はなかなかボリュームがありましたが、コツコツ文法規則をあてはめて推理する内容なのであまりメモ書きができませんでしたね。
白と黒のとびら 第12章 解読 その1
GW もあって間があいてしまいました。
師匠が残した偽クフ語の詩を解読するため、ガレットはファカタで知りあったユフィンの力を借ります。
- 解読の鉄則
- 短い文から手をつけよ
- ほんの一部でも正しい訳を見つけよ
- 一部でも解読できれば、残りは手元に飛び込んでくる
- ユフィンは偽クフ語の規則を教えてくれます
- S -> U 〇●●(ならば) U
- S -> M 〇●(は) U
- U -> MV
- U -> M ●(に) V
- U -> M ●(に) M V
- U -> U ●●●(そして) U
- M -> AN
- M -> N
- M -> M 〇●〇(か) M
- V -> (動詞のいずれか)
- N -> (名詞のいずれか)
- A -> (形容詞のいずれか)
英語のSVCやSVOみたいな感じですね。
- 偽クフ語の文は常に最後が V つまり動詞のいずれかで終わる。
以下、どの規則で文が成り立っているのかを推測していく作業が続きます。それでも文の解釈にはあいまいさがありますが……。
白と黒のとびら 第11章 決断
11章は偽クフ語という古代クフ語を参考にして人工的に作られた言語の話題が上がりますが、一転ストーリーが動きはじめるのであまり書くことがないです。
- 偽クフ語も〇と●からなる文
- 〇と●の並びの「単語」とその意味はわかっている
- しかし文を単語に切りわける方法がないと意味が曖昧で翻訳できない
- 偽クフ語にも「規則」があるそうですがその正体は本章ではわからず...
ガレット君は師匠に後継者になって欲しいと言われた晩、父親の危篤の報を受けて故郷に戻り、再び帰ってきた時には師匠は旅に出てしまっていたのでした。
故郷でのお父さんとの会話が泣けますね。
白と黒のとびら 第10章 小さな変化 その3
今日は「装置」から同等の「規則」を作ることができる証明についてです。
- 「装置」つまり遺跡において「文」は「入口から出口に至るまでの経路で開いた白い扉と黒い扉の順序」
- 「装置」を入口から出口に至るまでの経路を以下のように分類してステップに分解する
- もの(白黒の石や引換券)を入手する経路
- 入手したものを手放す経路
- ものを入手することも手放すこともない経路
- ここで経路というのは、自動的な移動や、移動せずにものを入手したり手放したりすることも含む
- 「入口から出口までの経路」→「分解した経路」を、それ以上分解できなくなるまで繰り返す
- 無限に繰り返すことが可能な経路(手順)を考慮して、そのような部分は分解した経路に別の経路(自分自身も含む)を含むような分解(と言うのかな)も可能
- 経路を記号に置き換えることで「規則」として表現できる
- そのままだと冗長なので簡約して単純な規則にできる
意外と簡単でした。ただ「装置」の定義がわりとなんでもありなので、状態の変化を「ものを入手したり手放したりする」という観点で一般化するだけで本当に置き換え可能なのかなぁというところは気になりますね。
白と黒のとびら 第10章 小さな変化 その2
今日は古代クフ語を表現する「規則」から同等の「装置」(つまり遺跡)を作ることができる証明についてです
- 3つの部屋 A、B、C があるものとする
- A は入口の部屋で、筒が空のとき自動的に B に移動し、引換券に筒が入る
- C は出口で、B で筒が空になった時に自動的に B から C に移動する
- B の白と黒の扉はどちらも再び B に移動する扉で、移動するたびに扉の色と同じ色の石が筒からなくなる(石を使わないと扉を開けない)
- B に引き換え係を置き、規則に従った引換券と〇●の石の交換をする
すごく単純ですね。引き換え係というしくみにほとんど制約がなくて、そのまま古代クフ語の規則を代替することができるなんでもできるのでまあ当然ではあります。
本文中では「引換券を交換するしくみ」の遺跡が知られていないので説得が難しいということになっていますが、第5章や第6章で出てきているので本書を読んでいると自然なしくみです。
次は「装置」から同等の「規則」を作ることができることの証明です。こちらはちょっと難しそうなので長くなりそうです。
白と黒のとびら 第10章 小さな変化 その1
第10章は「装置派」と「規則派」の対立が激しい学術院で装置と規則の表現力が同じであることを証明しようとするガレットの奮闘です。長いので何回かに分けることになります。
今日はまず、前提の確認のところまで
- 「クフ語の装置」とは以下のようなものである
- 白と黒の扉の付いた部屋からなる遺跡
- 一定の条件で筒の中身が変化する
- どの部屋でどの扉を選ぶかによって、または筒の中身がどのような状態にあるかによって移動先の部屋が決まる
- 筒の中身は後から入れたものほど先に出され、先に入れられたものは後から出される(LIFO)
- 装置(遺跡)にとって「文」とは「入口から出口に至るまでに選ばれる経路」
- 「クフ語の規則」とは以下のようなものである
- 「→」の左側に「いずれ何らかの文字列に置き換えられる記号」を1つだけ持つ
- 「→」の右側には、文字列か、「いずれ何らかの文字列に置き換えられる記号」か、あるいは両方を含むレツのいずれかを持つ
つまり「ST→U」とか「STU→●〇」はクフ語の規則ではない。
白と黒のとびら 第9章 不毛な論争 その2
古代クフ語の研究の「装置派」と「規則派」の論争を終わらせるため「規則で表わせるが装置では表わせないような古代クフ語の文が存在しない」「装置で表わせるが規則では表せないような古代クフ語の文が存在しない」ことを論証することになったガレット。さてどうするのでしょう。
- 第一古代クフ語を表現する遺跡と規則がそれぞれこれまで知っていたものとは別に紹介
- 書きかえ規則は以下のもの
- S -> 〇T
- T -> ●
- T -> 〇TU
- U -> ●
- これって U は常に●になるんだから T -> 〇T● でいいですよね…。まあそこも対応する装置との関係があるのかも
第9章はとりあえずこの例示だけで終わりでした。第10章ではいよいよ装置と規則の表現力が同じであることの論証で、長くなりそうなので今日はここまで。